2025年11月、高市早苗首相の国会答弁をきっかけに、日本と中国の関係が急速に悪化しています。ニュースで「台湾有事」「存立危機事態」という言葉を耳にした方も多いのではないでしょうか?
この記事では、高市首相の発言内容から、なぜ中国がここまで怒っているのか、そして日本にどんな影響があるのかまで、難しい政治用語をできるだけ使わずに、誰でもわかるように解説していきます!
そもそも「台湾有事」って何?
まず基本から押さえておきましょう。
「台湾有事」とは、中国が台湾に対して武力攻撃を行う事態のことを指します。
台湾と中国の関係をざっくり説明
台湾は現在、中国(中華人民共和国)とは別の政治体制で運営されています。しかし、中国は「台湾は中国の一部である」と主張しており、将来的に統一することを目指しています。
一方、台湾は独自の政府、軍隊、通貨を持ち、民主主義の体制で運営されています。日本とも経済的・文化的に深いつながりがあり、半導体産業など、日本経済にとっても重要なパートナーです。
もし中国が武力で台湾を統一しようとした場合、それが「台湾有事」と呼ばれる緊急事態になります。
「存立危機事態」とは?超わかりやすく解説
次に、ニュースでよく出てくる「存立危機事態」という言葉を解説します。
存立危機事態の定義
存立危機事態とは、2015年に安倍政権下で成立した安全保障関連法に規定された概念です。簡単に言うと、「日本と仲の良い国が攻撃されて、それが日本の存続にも関わる危険な状態」のことです。
具体的には以下の3つの条件を満たす場合に認定されます。
- 日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生
- これにより日本の存立が脅かされる
- 国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある
なぜ重要なの?
存立危機事態と認定されると、日本は集団的自衛権を行使できるようになります。つまり、日本が直接攻撃されていなくても、自衛隊が武力を使って対応できるということです。
これは非常に重大な決定であり、言い換えれば「戦争に参加する可能性がある」ということを意味します。
高市首相は何を発言したのか?
2025年11月7日の国会答弁
事の発端は2025年11月7日、衆議院予算委員会での出来事でした。
立憲民主党の岡田克也議員が「台湾有事においてどのような場合に存立危機事態となるのか」と質問。高市首相は最初、「実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断する」と一般的な回答をしていました。
しかし、岡田議員が同じ質問を繰り返す中で、高市首相は具体的な例を挙げて答弁しました。
高市首相の発言内容
高市首相は以下のような状況を例示しました。
「台湾を中国の戦艦が海上封鎖する。それを解くべく米軍が支援する。それを防ぐため、米軍への武力行使が起こる」
そして、このような状況について「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得るケースだと私は考えます」と明言したのです。
なぜこれが大問題なのか?
実は、歴代の首相たちは台湾有事が存立危機事態に当たるかどうかについて、意図的に曖昧な態度を取ってきました。
例えば、2024年2月に当時の岸田文雄首相は「いかなる事態が存立危機事態に該当するかは、個別具体的な状況に即し情報を総合して判断することとなるため、一概に述べることは困難だ」と発言しています。
安倍晋三元首相も「台湾有事は日本有事」と発言したことがありますが、それは首相退任後のことでした。在任中は具体的な言及を避けていたのです。
つまり、高市首相は現職の首相として初めて、台湾有事を存立危機事態と関連付けて明言したことになります。これは外交上、非常に大きな意味を持つ発言でした。
なぜ「曖昧」にしておくことが重要だったのか?
外交の世界では、「曖昧戦略」と呼ばれる手法があります。
曖昧戦略のメリット
敏感な問題について、あえて白黒をつけずに曖昧にしておくことで、以下のようなメリットがあります。
1. 相手国を刺激しない
具体的に「こうなったら武力を使う」と言ってしまうと、相手国(この場合は中国)を刺激し、関係が悪化します。
2. 柔軟な対応が可能
実際の事態は様々なケースが考えられるため、事前に決めつけてしまうと、想定外の状況に対応しにくくなります。
3. 外交交渉の余地を残す
曖昧にしておくことで、お互いに「落としどころ」を見つけやすくなります。
高市発言で「手の内」が明かされた
高市首相の発言により、日本が「どのような状況で武力を使う可能性があるか」という「手の内」が明らかになってしまいました。
これは中国から見れば、日本が台湾問題に軍事的に介入する意思を明確にしたと受け取れるものであり、強い反発を招く結果となりました。
中国の猛反発と日中関係の急速な悪化
高市首相の発言を受けて、中国は激しく反発しました。
中国側の反応
中国外務省の声明
中国外務省の報道官は「中国人民の最後の一線に挑戦しようと妄想する者は、必ず中国側の正面からの痛撃を受ける」と強い言葉で非難しました。
大阪総領事の衝撃的な投稿
11月8日、中国・大阪総領事の薛剣氏がX(旧Twitter)に「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬のちゅうちょもなく斬ってやるしかない」という衝撃的な投稿を行いました。これは外交官としては極めて異例の発言で、日本国内でも大きな波紋を呼びました(この投稿は後に削除されました)。
日本への渡航自粛呼びかけ
11月14日、中国外務省は中国国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかけました。また、中国教育省も日本への留学を計画する学生に対して注意喚起を行いました。
日本への影響
中国からの反発は、日本経済にも影響を及ぼしています。
観光業への打撃
2025年1月から9月までに日本を訪れた中国人は約750万人で、世界で最も多い訪日外国人でした。渡航自粛の影響で、観光業界では予約のキャンセルが相次いでいます。
水産物の輸入停止
中国は日本産水産物を事実上、輸入停止としました。これに対して台湾の頼清徳総統は、鹿児島産のブリと北海道産のホタテを食べる写真をXに投稿し、日本を支援する姿勢を示しました。
その後の高市首相の対応
高市首相は11月10日の衆院予算委員会で、「今後は特定のケースを想定したことをこの場で明言することは慎む」と述べ、軌道修正を図りました。
しかし、発言の撤回は拒否し、「従来の政府の立場を変えるものではない」と強調しました。
11月26日の党首討論では、「具体的に言及したいとは思わなかった」と釈明しつつも、中国との対話を通じて良好な関係を築くことが「私の責任」だと述べています。
日本国内の反応は?
高市首相の発言に対する日本国内の反応は、賛否が分かれています。
世論調査の結果
各メディアが実施した世論調査では、以下のような結果が出ています。
毎日新聞の調査
「問題があった」25%、「問題があったとは思わない」50%
産経新聞の調査
発言が「適切だ」と答えた人が61.0%
ANNの調査
集団的自衛権に基づく武力行使が「必要だ」33%、「必要ない」48%
政治家の反応
前首相の石破茂氏は「台湾の問題について『この場合はこう』と断定することを歴代政権は避けてきた」と指摘し、高市発言に対して慎重な見方を示しました。
一方で、防衛省関係者からは「答弁内容自体は間違っていない」という声も上がっています。
台湾からの反応
興味深いことに、台湾からは日本を支援する声が多く上がっています。
台湾政府の対応
台湾外交部長の林佳龍氏は「台湾の人は高市首相への支持を示してほしい」と述べました。
また、台湾の与党・民主進歩党の議員たちは「高市挺高市(高雄市が高市早苗を支持)」という記者会見を開き、台湾人に対して日本への旅行などで日本を支援するよう呼びかけました。
今後の展望と私たちへの影響
日中関係はどうなる?
外務省幹部からは「最悪の場合、この関係悪化は数年続くだろう」という見方も出ています。
両国間の緊張が長期化すれば、以下のような影響が考えられます。
経済面
貿易の縮小、観光収入の減少、サプライチェーンへの影響
安全保障面
東アジア地域の緊張が高まる可能性
文化交流
留学生の減少、人的交流の停滞
私たちにできること
複雑な国際情勢ですが、まずは何が起きているのかを正しく理解することが大切です。ニュースを見る際は、日本側・中国側・台湾側、それぞれの立場を意識しながら情報を得るようにしましょう。
まとめ
今回の騒動をまとめると、以下のポイントになります。
- 高市首相が国会で「台湾有事は存立危機事態になり得る」と明言
- 歴代首相が避けてきた具体的言及を初めて行った
- 中国が猛反発し、日中関係が急速に悪化
- 観光・貿易など経済面への影響も出始めている
- 台湾からは日本支持の声が上がっている
台湾有事は、決して遠い国の出来事ではありません。日本のすぐ近くで起こりうる事態であり、私たちの生活にも大きな影響を与える可能性があります。
今後も日中関係、そして台湾海峡情勢の動向に注目していく必要がありそうです。
この記事は2025年12月時点の情報に基づいています。最新の情報は各ニュースサイトでご確認ください。
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